TADESKA

200822

 

司会 井上 幸孝

次回以降の打ち合わせ

3月講読会は31日 岡本淳子、鈴木真由美

4月全体会 司会者 溝田のぞみ

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Charla: 中川マルガリータ

「冠詞の教え方(1) 問題点の把握を中心に」

・冠詞の使用に関するアンケート

 2年前、関西圏の2大学のスペイン語専攻の23年時生を対象に行ったもの。

 内容:スペイン、中南米の小説、演説、インタビュー、ジョークなどのコーパス分析により頻度の高い冠詞の用法を使用。

日本語訳を添付した。

 正答率:117人の学生の65.5%(学年があがるにつれ、少しは上がった)

 正答率の高いもの…

地名の前のゼロ冠詞

固有名詞の前のゼロ冠詞

連想による前方照応

「いくつか」の不定冠詞の用法(unos minutosなど)

制限的修飾語()がある場合の用法(todos los días, la primera tiendaなど)

教科書に頻出するにもかかわらす間違いが多いもの…

  El Sr. Tanaka(呼びかけでない場合)の冠詞脱落

職業名に冠詞付与→この2つは英語の影響か

制限しない修飾語()がある場合…Estudio en una escuela de idiomas. la

    ←出席者からのコメント

      「教科書の例文に la escuela, la universidad など「定冠詞+名詞」の組み合わせが多いので、学生はそこから類推しているのではないか」

  冠詞の前方照応的用法(先行文脈で出た内容を受ける時)

    ←出席者(複数)と発表者とのやりとり

      「dormir en el taxi ir en taxiで、冠詞の有無の区別が難しい」

→手段の場合φ冠詞が使用される:

      「dormir en el taxiでは、taxiは場所。ir en taxiでは手段である」

      

      「手段であっても特殊であれば冠詞がつく。cortar con cuchillo / cortar con una piedra

 

定冠詞の機能について

文脈などから、聞き手がどの指示対象について話しているかわかると話し手が考える場合、話し手は定冠詞を使う。

 例:  (la sal)をとってください。 

        宿題(la tarea)はしましたか?

指示対象は、単数である場合、また複数である場合がある。

複数である場合は、いつも文脈の中で解釈できる一番大きいグループとなる。

 例:  女の子達 (las chicas)はその歌手が好き。

 

不定冠詞の機能

話し手が、指示対象を特定しないで、ただ、「ある種類に属する」一つのもの、またいくつかのものとして紹介する場合、不定冠詞が使われる。

 

話し手は下記のような場合に、不定冠詞を使う。

聞き手が具体的にどのものについて話しているかわからないので、まず、紹介  する必要があると考えられる場合。

      例:   これはスペイン語の本(un libro)です。

         私は猫(un gato)を飼っているのですが・・・

聞き手に対して、具体的にどのものについて話しているか、特定する必要がないと考えられる場合。

      例:    とあるスーパー(un supermercado)で仕事をしています。

自分の頭の中でも、指示対象を「一定の種類に属するもの」としてしか考えられない場合。

      例:    スカートをいくつか(unas faldas)買いたい。

 

φ冠詞の機能

話し手が、指示対象を特定しないで、またその範囲を定めないで、ただ、一つの種類として紹介する場合、φ冠詞が使われる。

       例:   今朝牛乳(φ leche)を飲みました。

               「アルト」と「バモス」は車(φ coches)です。

   ←出席者からのコメント「ただし、この機能の説明をこのまま学生に言っても、理解されづらいだろう」

 

不可算名詞・複数可算名詞・単数可算名詞

Ayer lavé ropa.…「洗濯する」という行為のみを焦点化

Ayer lavé la ropa.…「服」にも焦点当てる

Ayer lavé camisas.…シャツという種類

Ayer lavé camisa.…× なぜ?

 

ゼロ冠詞…種類を表す。

 

種類=

集合を表す不可算名詞や複数可算名詞だけ(Ropa=不可算名詞、camisas複数可算名詞)

本来の目的で使われることを表す単数可算名詞(cortar con cuchillo, ir en cocheなど)

 

例外:φ冠詞+単数可算名詞

職業、身分を表す名詞:soy φestudianteなど、獲得、入手の動詞の目的語:tener φcocheなど、身に付けるものの動詞の目的語: se pone φcorbataなど、変化を表す動詞(mudar, variar, mejorar, etc.) + de + φ名詞:cambiar de φescuela など、先行の名詞を更に分類するために使用される前置詞deの後:mesa de φnocheなど、手段、道具を表す名詞ir en φtrenなど。

 

参加者が議論の中で指摘した問題点

短文の多い教科書の例文ではTomo cerveza en una cafeteríaなどがなかなか出てこない。

教科書で出てくるフレーズを良く覚えていて、それらをそのまま使う傾向。

最初の方で冠詞を扱った後、あまり詳しく扱わないので、忘れてしまう。

不可算名詞は教えないから間違える。

学生に冠詞の用法を説明する際の用語をどうするか(指示対象、文脈など、そのまま使うか、言い換えるか)