パターン練習(グループディスカッション)

 

Grupo A

(1)どんなパターン練習があるか。

・暗記して覚えて発表する。

SUBSTITUTION(主語・動詞・名詞を複数形に変えるなど)ドリル。

・秒数制限をつけて早く言えるようにする。

 

(2)どんなクラスで、どのような練習が効果的か

パターンプラクティスの利点

・人称、名詞、形容詞、冠詞などの練習では特に効果的。

・ある程度は機械的に練習することは必要で、何も言えないところから一歩踏み出すことができる。

クラス別の効果的な練習

・自発性がないクラス(黙ってしまう生徒がいるクラス)では色々なヒントを出して、答えてもらうようにする。

・他に文法の授業を履修していない生徒がいるクラスでは文法の説明をしてから、練習をはじめる。

 

(3)書くパターンプラクティスの不備と補完

・書く練習をする回数(前文を書き換える問題が多いなど)と単調に感じてしまい、詳しい意味を考えたりせずに、機械的に写してしまう。

補完の方法

・問題があまりに多いときは、音声で練習したり、タイプライターで書く。

 

Grupo B

(1)どんなパターン練習があるか

a. 文法のパターン練習

・置き換え(文法構造、動詞活用、名詞句を代名詞に、性数一致、時制一致など)

・応答問題

・その他:典型的な文法のパターン練習は、答えが1つ。

   説明された文法事項についての理解を確実にするため、また記憶するために行う

b. コミュニケーション的要素も含めたパターン練習

・学生個人の事(例えば出身地)をテーマに、単純なやりとりをいろいろなクラスメートとさせる→パターン練習とパターン化していない練習との線引きが困難

 

(2)パターン練習の必要性

第2外国語の場合、授業時間が限られていることから、2つの対立する考えが出された。・授業が文法説明とパターン練習だけで終わると、習った事項を実践的なコミュニケーション活動に生かすことが不可能となる。よって、パターン練習よりもコミュニケーション中心の活動を実践する方がよい。

・コミュニケーションを学生ができるようになるためにはある程度語彙や文法構造の知識が必要である。よって、コミュニケーション練習よりパターン練習を優先する方がよい。

(3)不備・限界(欠点)と、補完の方法

CALLの学習(自習形式)では、選択解答方式が多く、根拠なく答えをクリックして次に進む。よって、文法を自分が理解しているかどうかわからない。(学生のコメント)

・カリキュラム全体の中で、意味を伝える発話の練習をする場が確保されていない場合、意味の学習が不足する。

 →(補完)パターン練習をさせる場合、時間がかかっても、必ず意味まで考えさせる。

・学生が、他の活動や課題でも「1つの正解」を求めたがる。実際のコミュニケーションでは複数の言い方があるのに、多くの学生が同じ表現を言う。 →最初の段階では複数の表現を一度に覚えて使うことは不可能であろう。

・パターン練習は退屈→(補完)パターン練習の後、同じテーマでコミュニケーションの実践を異なる角度から行う。たとえば、ジェスチャーを用いたコミュニケーション活動を行う。

 

Grupo C

(1)どのようなパターン練習があるか?

(2)どんなクラスで、どのような練習が効果的か?(利点)

(3)不備・限界(欠点)→補完方法

 

A氏

(1)一年生:定冠詞の練習

例)まず、絵カードを見せながらEl libro, por favor. と例を示し、カードを変えて練習。使用テキストVentanaから問題を抜粋してパターン練習に使用。

二年生

例)¿Quién es el cantante más guapo del mundo?の様な学生によって答えの異なる問いを用いた練習。自作ビデオの使用:ビデオの中で会話モデルを紹介。モデルに従い、単語を変え練習。

(2)一年生:パターン練習により文型の習得が容易。身体で覚えることが可能。

二年生:学生が実在の人物を思い浮かべたりするので、大いに興味を示してくれる。

 

B氏

(1)一年生(使用テキスト『スペイン語のABC』(第三書房):性数変化の練習等を機械的に行わせる。

例)Luis es profesor. Luisa. と主語を変える等。

)私物を机上に出させ、各名詞を提示した後、¿Qué es esto?Es un/una.の練習

(2)機械的に覚えることが可能。←形容詞の変化、動詞の変化は英語では経験していないので、機械的に覚えさせることが重要。

 

C氏

(1)一年生(使用テキスト!Animo! 指定教科書)

例)練習する動詞に関連する語彙を集めたリストを配布。動詞活用練習後、リストを使用しながら文を作成させる(yo だけでなく他の人称も)。

例)作文練習:ペアで相手に作文させる。一人が日本語の文を言い、相手がスペイン語を言う。

(2)学生が主体となって作文するので、モチベーションをあげることが出来る。出来る学生はおもしろがってどんどん作文する。各自の作文を回収し、添削、翌週返却。添削により個別指導、各自の理解度の把握が可能。

 

D氏

(1)一年・二年混合クラス(初修者):各文の主語を変えての動詞活用練習。テキストの練習問題も各自の状況に合った答えをさせる。

(2)臨機応変に考えることを見につけさせる。

 

E氏

(1)一年生:冠詞と名詞の数変化の練習

例)el libro los libros 等。名詞は教室にあるものを使用。テキストに記載されているものもあれば、ないものも使用。ないものは現物を見るので日本語で意味を言わなくても理解できる。最初は口頭のみで練習。後、板書で綴りを確認。

ser動詞・形容詞の性数変化の練習

例)外見・性格・職業に関する語彙リストを配布。Él es alto. Es guapo. Es cantante.などモデルを示した後、写真やイラストを配布。各自にそれを見ながら作文させ、誰のことを言っているのか他の学生にあてさせる。

・動詞活用

例)¿Vives en Osaka?Sí, vivo en Osaka.とモデルを提示した後、en以下を変えて yoの問いと答えをペア練習。実際自分が尋ねられたつもりで答えさせる。その後、主語を三人称(クラスメートや芸能人などの実在の人物)に変えて練習。

例)主語人称だけを記したカードと原形動詞を記したカードを配布。左に裏返した主語カードを置き、右に裏返した動詞カードを置き、左右同時にめくり主語に応じた活用を言わせる。二人以上のグループでやらせ、誰が一番短時間でクリアするかを競わせる。

(2)ゲーム感覚を取り入れると学生がのってくる。教師の話をじっと聞いているのが苦手な学生が集まったクラスで取り入れている。機械的に覚えさせる練習と交互に行っている。

3)全員の意見として・・・

・週一の授業で、文法を説明しパターン練習も行うのは時間が足りない。

・パターン練習を行うには、少人数クラスでないと学生の出来・不出来が把握できない。・ペア練習、オーラル練習でのパターン練習をしたがらない学生もいる

・定型パターンプラクティスではない(ある程度は自由に文章を作らせたりする)ため、教員の想定外の間違いをしてしまうことも多い。

 

Grupo D

1つの品詞(形容詞なら形容詞)で男女を変える,数を変えるなどのカッコ埋め問題を実践.

・(個人の日本語教育経験において)パタンプラクティスはあまり使わないが,日本語の助詞については習得が難しいので使うことがある(「あなたは何が好きですか?」―「私は〜が好きです」など).

・教科書にはカッコ埋めの問題が多いが,カッコ埋めの問題でも全文を黒板に書かせるようにしている.

・(個人が受けた授業の経験から)先生が教室の中を歩き回り,「Trabajas aqui',yo.-Trabajo aqui'.」といったやり取りを1時間中続けた経験がある.また,その授業では,3回に1回程度,会話文の暗唱テストがあり,そこでは学生11人の暗唱を録音し,次の回にイントネーション,発音等の問題点を書いたものを各学生に渡し,フィードバックがなされていた.

・パタンプラクティスにおいて自分のこと(年齢,出身地など)を言うのであれば,コムニカティブな要素も含んでいると考えられる.

・オーディオリンガルメソッドでは実際に使わないフレーズが多い(?Quie'n eres? など).

・パターンプラクティスは文法規則を覚えるためのものであるため,それだけでいきなり使えるようにはならない.ただし,「わかった実感」を持つのには役立っているか.

・授業が何を目的としているかを考慮する必要がある.話せるようになることを目的とするのであれば,パタンプラクティスだけでは不十分.しかし,特に第2外国語であれば,学生は話せるようになりたいと思っていることが多いものの,実際に第2外国語の授業においてそれが可能なのかどうか.特に第2外国語は外国語の習得そのものよりも,覚える楽しさを学んだり,文化に興味を持たせたりする目的も大きいようである.

 

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