2回ワークショップ議事録

 

日時:2006513(土曜日) 午後3時〜

場所:大阪産業大学梅田サテライト教室

テーマ:モチベーション

参加者:24

司会:柿原武史

 

I. 前回のまとめ・会の趣旨など確認(第1回議事録はこちら)

 

II. モチベーションとは  「モチベーション(動機づけ)」は大変頻繁に用いられる言葉だが、その定義は専門家によって異なり、曖昧かつ複雑である。いわゆる「やる気」そのものと同義に用いられる場合も多いが、やる気にならせるような要因およびその要因が学習者の心的エネルギーを喚起し、行動に至らせるという一連の過程を言う場合も多い。教師が現場におけるモチベーションを話題にする場合には、恐らく、「(だんだん活気がなくなっていくという現実も考慮に入れた上で)授業を活気あるものにしたい」という気持が働いているのではないか。となると、「やる気」そのものだけでなく、学習者がどのような要因でやる気になるか、また、どのようにしてやる気を起こさせるか、ということが問題になると言える。Dörnyei(2001)の次の指摘は、テーマを明確にする上で役に立つと思われる。

 

              […] motivation is responsible for

       –         why people decide to do something,

       –         how long they are willing to sustain the activity

       –         how hard they are going to pursue it.

 

これらの点に立脚し、彼は、教師の授業実践においては、次の提案をしている。

@動機づけのための基礎的な環境を作り出す

A学習開始時に動機づけを喚起する

B動機づけを維持し保護する

C学習経験を締めくくる:肯定的な自己評価を促進する

 

III. mini-charla  担当: 土井 裕文 「初回授業の進め方」

     準備するもの:出席カード(学生が記入)、スペイン語による挨拶表現

     学生には文字は見せず音から綴りを連想させる。

     出席カードでペアを決め、スペイン語で会話させる。挨拶表現を使って会話が終われば、日本語で話してもよいこととし、友人作りの機会になるようにする。

     奇数列の人が席をひとつずつずれていき、ペアを変え、6人ぐらいと会話できるようにする。

     困難点:アクセント記号にまで注目させることが出来ない、教室の問題(LL教室、PC教室など)、欠席者の孤立、他者に興味のない学生への対応、履修者の男女比率など。

 

IV. グループでの意見交換

 

グループA

(1)初回授業の進め方(あまりモチベーションの高くなさそうな学生・クラスを想定)

     話しやすい環境づくり→教師の自己紹介と学生に自己紹介を実施。

・第1回は授業をしないでガイダンスやスペイン語圏の紹介をする。

     スペイン語圏の国々の名前を発音する→発音しやすさをアピール。

     英語との共通点を話す→英語の知識を活かせ、身近な言語であることを感じてもらう。

     スペインで撮ってきたビデオを上映→日本とスペインの違い。

 

(2)その他

     モチベーションをあげられない要因と考えられる事柄:将来スペイン語を活かせない、日本のシステムの問題。

     モチベーションをもたせる活動:挑戦(内容が複雑になると楽しくなることも)

     学年によるモチベーション差。

 

グループB

 

(1)初回授業の進め方

 

・単語を読ませる→スペイン語がある程度は予備知識なしで読めることを感じさせる。

・タスクシートによるペアワークでスペイン語での自己紹介。

・スペイン語の使用地域やその歴史などについて話す。

・アルファベット・数字を教える。

・アンケートをとる:受講動機、授業に望むこと、英語にまつわる事柄(外国語に対する興味の度合い、英語を引き合いに出して説明できるかどうかを知るため)

・スペイン語の挨拶や事物の名前や意味を尋ねる表現を教え、ペアで練習。

 

(2)モチベーションを高める工夫

 

・そもそもモチベーションを教師側が仕掛けることに疑問。

 

     スペインの社会、文化、政治などに関するDVDを見せる。

 

     スペイン語の歌や会話を聞かせる。歌詞や会話の内容も配布する。

 

     現地で撮った写真を見せ、自分の訪ねた土地のことを語る→スペインに対する親近感を持たせる。

 

グループC

(1)初回授業の進め方

 

    席の移動はせず、簡単な表現を使って出来るだけ多くの人と会話をさせる。

     知らない人と話をするようにさせる。

     教科書を使い、アルファベットや語の発音をする。

     スペイン語のみで授業する。また、学生が単語を理解できるよう物を指差して授業を進める。

     スペイン語やスペイン語圏について知っていることを学生に日本語で話させる。

     スペイン語の選択理由を尋ねるアンケートを実施→授業中に回収し、学生の顔を見ながらいろいろと質問し、話題を膨らませ、学生の関心を高める。

     ドラえもんなど学生みんなが知っているものをスペイン語で見せ、スペイン語の音の印象を語らせる。

 

 

(2)その他

・  他人に興味のない学生の扱いは困難。

     握手をさせたりすると拒絶する学生も。

 

     プライバシーに関する配慮も必要:家族構成や出身地を言わせる際は注意が必要。

 

グループD

(1)初回授業の進め方

・  歌詞の穴埋めが出来るよう準備して歌を聞かせる。     スペイン語やスペイン語圏に関する紹介→地図の利用、国名などの音読。

 

     スペイン語を知っていることの利点について話す。

     英語が出来なくても外国語が出来るようになるチャンスであることを伝える。

    教師自身の自己紹介。

     出席カードなどにアンケート:なんでもいいから一言書いてもらう、選択理由や「何を得たいか」といった具体的な目標などを尋ねる。

     サッカー中継やスペイン語圏の街の様子など映像を少し上映。

     1年間スペイン語を勉強した学生の旅行記を配布。

     教科書について:初回から使用するかしないか→使用しない派(中身を見るだけ)/使用する派(地図中の国名やアルファベットの発音)

 

     日本語とスペイン語の似ている点について話す。

 

 

(2)モチベーションを高める工夫

 

・  新聞記事などプリント配布。

    アニメのスペイン語吹き替えなど様々な映像を見せる。

   全員で発音練習する機会を設ける。

     フリートーク:様々な「名前」「場所」「〜人」などのカードを作らせ、それを使ってある人物になりきってフリートークをさせる(ペアワーク)

 

IV. 総括