「フラメンコ」「映像分析」
1.フラメンコ
情報の多い時代でも学生たちがフラメンコに持っている印象はきわめて
ステレオタイプ的です。
学生たちの固定観念を壊すことを目的に、Carlos Saura監督の『フラメンコ』の中か
らタイプの違う踊り・歌を4種類見せます。対象は1年生(専攻・副専)。
学生たちは、男性も踊ること、手・足を打楽器として使いリズムを取っていること、
歌だけのフラメンコもあること、曲にはアップテンポもスローテンポもあることなど
を知って驚き、大きな関心を示します。中にはフラメンコを習いたいとコメントに書
く学生もいます。実際に習いに行った学生は私の知る限りではいませんが、少なくと
も学生がフラメンコに関しての知識を得て、興味を持つことが大事だと考えます。フ
ラメンコの歴史についてプリントを配布したこともありますが、時間的な問題もあ
り、ほとんどの場合は映像だけを見せています。
2.映像分析
文学作品の分析を授業で行なうことは不可能なので、約6分間のプロモーション・
ビ
デオ、Alejandro Sanzの"No es lo mismo"を分析させます。これまでにこの活動を行
なった対象は2年生以上の学生で、専攻の概論と副専のスペイン語演習二年次です。
学生には、「分析には正しいとか間違っているというのはない。さまざまな記号が出
てくるが、その記号を含め、映像が何を意味しているのか、映像をじっくり見て、好
きなことを書いて欲しい。ただ、分析をするということは、○○は〜だ、というよう
な言いっぱなしではだめ。なぜ、そう考えるのか、根拠を述べて、相手を説得してほ
しい」と伝えます。
面白い分析はコピーをして、次回の授業で全員に配布します。様々な分析が可能であ
ることを示し、同じ映像を見ても一人一人捕らえ方が違うということを伝えます。
学生は文学理論や分析方法など一切学習していません。にもかかわらず、一部の学生
の映像分析には驚かされます。彼らは映像の細かい部分にまで注意を払い、非常に鋭
い分析をします。しかも説得力を持っており、分析として見事に成功しています。自
分自身や世界情勢などに結びつけて論じる学生もおり、この映像分析は学生にさまざ
まなことについて考える機会を与えていると考えます。
(出席者とのやりとりから)
「映像分析についての学生たちのコメントに圧倒された。 「フラメンコについて、情報の多い時代でも
具体的にはどんな授業の中で行ったのか?」
「専攻、非専攻の両方。科目は「スペイン語演習」
「概論」など、2年次。
今回紹介した学生のコメントは、2年ほど実施した中からの抜粋。」
学生たちの最初の印象はきわめてステレオタイプ的」
「ステレオタイプは、恐らくCMなどの影響だろう」
「今回上映したフラメンコの映像は市販されているか」
「されている。とてもよいDVDで、監督はCarlos Saura」